肌の悩み、とくにしみや肝斑は見た目だけでなく気持ちにも影響します。最近ではカウンセリングの現場で「VISIA肌診断」を導入するクリニックが増え、主観だけでなく客観的なデータに基づいて治療方針を決める流れが一般的になってきました。本記事では、VISIA肌診断が何を測り、どのようにシミ・肝斑治療に役立つのか、科学的な視点を交えてわかりやすく解説します。
VISIA肌診断とは
VISIA肌診断は、多波長の特殊な撮影と解析ソフトを組み合わせた肌画像解析システムです。複数の光源(標準光、偏光、UVなど)を用いて同一部位を撮影し、メラニンや血管由来の赤み、表面のテクスチャーなどを可視化・数値化します。得られたデータは同年代・同性別の基準データと比較したパーセンタイル表示が可能で、現在の肌状態がどの程度かが一目でわかるようになっています。
多角的な撮影で見えない部分を可視化
通常の可視光撮影では見えにくい真皮深部の色素沈着や、毛穴の影、ポリフィリン(皮膚表面の細菌代謝物)などを、UVや偏光を使った撮影で浮かび上がらせます。これにより、表面に出ている「しみ」と、皮膚の内側に潜む「隠れたしみ」を区別できます。
また、RBX(Red/Brown eXtraction)などのアルゴリズムで赤みと茶色味を分離し、肝斑のような血管由来の要素とメラニン由来の要素を分かりやすく表示します。
この可視化は、治療ターゲットを明確にするうえで非常に有用です。
数値化で客観的な比較が可能
VISIAは「しみの面積」「色素の強度」「赤みの割合」「肌テクスチャースコア」などを数値として出力します。これにより、施術前後での変化を客観的に評価でき、治療効果の有無や経時的な改善度合いを定量的に把握できます。
クリニック側も患者側も「感覚」ではなく「データ」で話ができるため、信頼性の高い治療計画を立てやすくなります。
ただし数値はあくまで補助指標であり、診察や皮膚科的な評価と組み合わせることが重要です。
臨床現場での役割
VISIAは診断だけでなく、治療の選択肢提示や経過観察、患者への説明ツールとしても有益です。施術前の画像を見せながら現状の問題点を共有し、どの部位にどの治療が向くかを視覚的に示せます。治療後に同じ条件で撮影することで、具体的な変化を患者自身も確認できるため、満足度向上にもつながります。
ただし、VISIAの結果だけで自己判断せず、医師による総合的な診断が必要です。
また、撮影条件(メイクの有無、照明、角度など)を統一することが精度維持のポイントです。
VISIAが示す主要な解析項目と臨床的意義

VISIAは複数の解析項目を通じて、しみ・肝斑治療に関係する皮膚の状態を評価します。ここでは代表的な項目とその治療上の意味を解説します。
ブラウン(茶色)スポット:メラニン性病変の評価
ブラウンスポットはメラニンに起因する色素斑を示します。UVスポットの検出により、表皮性のしみと真皮寄りの色素沈着をある程度見分ける手掛かりが得られます。表皮中心のしみは光治療(例:IPLやピコトーニング)で改善しやすく、深部に及ぶ色素はケミカルピーリングや組み合わせ治療が必要になることがあります。
VISIAでブラウンスポットの面積や密度が高い場合、複数回の治療計画やホームケア(美白外用、日焼け止めの徹底)を併用する方針が有効です。
レッド(赤み)解析:血管性病変や炎症の把握
赤みの解析は肝斑の診断や炎症性の赤みに対する治療選択に役立ちます。肝斑は一般に左右対称で頬部に広がる淡い色ムラですが、炎症後色素沈着や酒さとは対応が異なります。赤みが強く出る場合は、先に炎症を抑える治療を行う必要があることがVISIAからわかります。
赤みを適切に評価することで、光治療や血管治療(レーザー)、炎症抑制を目的とした外用薬の導入時期を検討できます。
テクスチャー・毛穴・シワ:物理的ダメージの評価
肌表面の凹凸や毛穴、浅いしわは、マイクロニードリングやレーザー、ピーリングなどで改善を図ります。VISIAのテクスチャースコアは皮膚の凹凸の程度を示し、どのアプローチが効果的かを判断する補助になります。
しみと凹凸が混在するケースでは、順序立てた治療(色素改善→凹凸改善)や同時併用が検討されます。
科学的根拠に基づく診断と治療設計
VISIAの強みは「再現性のある画像」と「定量的データ」を提供する点にあります。これが臨床でどのようなメリットを生むのかを解説します。
客観性の確保と診断精度の向上
従来の視診は医師の経験に依存する部分が大きく、同一患者でも担当者によって判断が分かれることがあります。VISIAの数値化はこの主観性を補い、診断や治療評価に客観的根拠を与えます。特に、肝斑のように淡い色ムラは目視だけで経過を判断しづらいため、定量データが役立ちます。
ただし、数値は補助的指標であるため、既往歴や内服薬、ホルモン状態など臨床情報と合わせて総合判断することが必要です。
治療効果の定量的モニタリング
施術前後でVISIAを同条件で撮影すれば、しみの面積減少率や赤みの改善度を数値で示せます。これにより、治療の効果を科学的に検証し、必要に応じてプランの修正や治療回数の見直しが可能になります。
長期的には、定期的な撮影で紫外線ダメージの蓄積や再発リスクを早期に察知できます。
個別化医療への貢献
VISIAは年齢・性別・人種別の基準データと比較したパーセンタイル表示が可能です。これにより「同年代と比べてどの程度か」を把握し、積極的介入が必要か、生活指導で様子を見るべきかを判断できます。個々の肌特性に応じた治療選択(光治療、ケミカルピーリング、マイクロニードリング、外用療法の組み合わせ)が科学的根拠に支えられて提案されます。
実際の治療選択での使い方と注意点
VISIAの結果をどう治療に結びつけるか、現場での実践的なポイントをまとめます。
診断→優先順位の決定
まずVISIAで「どの要素が目立つか」を把握します。たとえばブラウンスポットが主であれば光治療やトーニング、深部の色素が疑われる場合はケミカルピーリングや内服・外用療法の検討が優先されます。赤みが主因であれば血管治療や抗炎症療法を優先するなど、優先順位を明確にして着手します。
複数の問題がある場合は、治療の順序や組合せを慎重に設計することが重要です。
治療効果の検証とフォロー
施術後は一定期間ごとにVISIAで撮影し、改善度合いや予期せぬ変化(色素の悪化、炎症の残存など)をチェックします。このデータに基づき追加治療や副作用対策を行います。
また、日常のスキンケアや紫外線対策の継続が再発防止に不可欠であり、その効果もVISIAで確認できます。
限界と誤解しやすい点
VISIAは強力な補助ツールですが、万能ではありません。撮影前の準備が不十分だと結果がぶれること、特定の色調や光反射による誤差、臨床的な判定が必要なケースは残ることを理解しておく必要があります。必ず医師や経験あるスタッフによる解釈を受けてください。
また、機器の解析結果だけで即断せず、患者の生活背景や治療希望を踏まえてプランを立てることが大切です。
まとめ
VISIA肌診断は、しみ・肝斑治療において可視化と数値化を通じて診断精度を高め、治療効果の客観的評価を可能にする有用なツールです。表面のしみと真皮寄りの色素沈着を区別し、赤みやテクスチャーの状況も把握できるため、個別化された治療設計に寄与します。
ただし、VISIAは補助診断機器であり、適切な診察・既往歴確認・生活指導と組み合わせることが前提です。治療を検討する際は、VISIAの結果をもとに医師と詳細に相談し、自分にとって最適なステップを選んでください。
まずは診療機関でVISIAを体験し、今の肌状態を客観的に把握することをおすすめします。
